あの頃の俺たち…

ダートトライアルFR軍団

-あの頃の俺たち-

あの頃の俺たちは、タイムなんて関係なかった。
どんだけかっこよく、魅せる走りができるか競いあってた。
完熟歩行はミスコースをしないために歩くためのもので
仲間と冗談を言い合って大笑いしながら歩いてた。

『どっから振ってくー?(笑)このへんじゃろー!!(笑)』
『いんや、いんや、わしはこの辺からじゃ!』
『なにぃー?!負けんでぇー!』


そんな彼等の走りは、当時出たばかりのインプレッサやランエボより
派手なパフォーマンスにおいても、タイムにおいても、勝っていた。
いつしか彼等の走りを楽しみに、ダートラを観に来る人がいるようになっていたとは
その頃の彼等には想像もつかなかった。


-仲間-

九州の大学で自動車部に入り、ダートトライアルをやっていた僕は
卒業後、広島の会社に就職した。
どこのチームに入りダートラを続けようかと考え中だった僕を
広島の友達はテクニック ステージ タカタに行こうと誘ってきた。

タカタに向かう車の中で
『すごいハチロクがおるんだってー!!』と友達は興奮してたけど
僕はその時はまだよく分からなかった。

会場に着くと、その日はジュニア戦が行われていた。
友達は迷わず僕を【バンク】と呼ばれる、一番の観戦スポットに連れて行った。
そこであのハチロクを観た…
コーナー手前からドリフトし始め、そのまま流しながらきれーに抜けていく…
そのスピード…
自分の手足の様にハチロクを振り回す
豪快ながらも華麗な走りに僕はマジで鳥肌がたった…

車から降りたドライバーは僕よりたった2つ年上くらいの人だった
仲間が沢山いて、大笑いして、みんな本当にダートラを楽しんでいるように見えた。

その日、
僕はこの人たちと共に、このタカタでダートラをしようと決意した。


-15年後-

全日本戦に出場するまでになった俺たちは、
もうあの頃みたいに大笑いしながら慣熟歩行をする事もなくなった。
4駆の改造車に乗り換え
いつしか、勝つためのダートラをするようになっていた。

そんなある日、ある人に声をかけられた。
『昔、ハチロクでダートラしよったじゃろー?
いつも楽しみに観に来よったんよー!
ほんまにすごかったよー!』


今のダートラにはあの頃のような盛り上がりがないよね…と
その人は言った。
言われて初めて俺たちは後ろを振り返ってみた…
昔の半分以下の参加台数になってしまったジュニア戦
ダートラ人口の減少…

俺たちはある決意をした。
ダートラをまた盛り上げて行こう。
速くなくたっていいじゃないか、
またあの頃みたいに走ろうや!
そのうちFRクラスが出来るくらい、みんなで色んな車作って出ようでー!

あの頃のタカタをもう一度…
自分に出来ることから始めてみよう。